2023年4月29日~11月26日
19 世紀末から 20 世紀初頭、科学技術の進歩と経済発展を背景に文化が花開き、パリが最も 輝いていた時代――ベル・エポック(美しき時代)。美術や文学、音楽や演劇など、さまざまな 分野の芸術が大きな発展を遂げるとともに、照明でまばゆいばかりの大通りには、おしゃれを 楽しむたくさんの人が行き交い、カフェやキャバレーでは明け方まで喧噪が繰り広げられた。
第一次世界大戦勃発によって幕を閉じるまでの約 30 年間、人びとが豊かさと束の間の平和 を享受したこの時代に、ルネ・ラリック(1860-1945)はジュエリー作家として輝かしい実績を残 した。ベル・エポックの象徴でもある、フランスを代表する大女優サラ・ベルナールにジュエリ ーを認められ、1900 年、40 歳で迎えたパリ万博では見事グランプリを獲得。それまでジュエリ ーの素材としては稀であった半貴石や獣角などを取り入れ、伝統にとらわれない宝飾品を創 造することに熱意を燃やした。
誰も見たことのないものを作ろうと常に新しいものに目を向けて いたラリックにとって、諸文化が入り混じり、奇抜で斬新な芸術を柔軟に受け入れる“ベル・エポック ポック”は、彼の創作意欲を刺激しアイデアを生み出す宝庫だったのだ。そんな美しき時代に異彩を放った、ラリックの独創的なジュエリーの数々をどうぞお楽しみください。